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「ライトノベルめった斬り!」

奇想庵というサイトに「ライトノベルめった斬り!」というエントリ(2007.01.25付)があった。『ライトノベルめった斬り!』という本があり、公式サイトにその中で書評されている100作品の名前が記されているとのこと。上記のリンク先はその100作品について、…

「探偵ガリレオ」『壊死る』

先日のドラマがあまりに腑に落ちなかったので、原作とされる小説「探偵ガリレオ」の該当話である『壊死る』を立ち読みしてみた*1。 案の定というべきか、[これはひどい]な原作スポイルであった。 【TV】秀才物理学徒→【小説】一工員 【TV】新発明の暗殺兵器→…

西欧の首都とローマ帝国

塩野七生『ローマ人への20の質問』(文春新書)を読んでいて、以下のような記述を見かけた。 そして、ローマ人が都市化した地域は、ほとんどすべて現代でも大都市として生き残っている。西欧各国の首都の中で、ローマ時代とは無関係なのはスペインの マドリー…

『Stanley Yelnats' survival guide to Camp Green Lake』Louis Sachar

Holesの主人公Stanley Yelnatsが、矯正キャンプCamp Green Lakeを振り返り、そのキャンプで生き残るにはどうしたらよいかのガイドを書いた、という設定の擬似ハウツーもの。大きい字体で88ページ。お手軽な本である。 色々と「教訓」が述べられているが、架…

『鬼麿斬人剣』隆慶一郎

『一夢庵風流記』の勢いで、再読読了。 時代物にありがちな、「×番勝負」の形式の中に、刀工である主人公が亡き師匠の過去の不本意な作品を探し出し、打ち折っていくというクエスト、不本意な作品に手を出さざる終えない状況に至った原因である師匠の出奔時…

『一夢庵風流記』隆慶一郎

久々に「一夢庵風流記」(隆慶一郎)を読み返す。 毎度気になる粗というか偏りみたいなものがないわけではないが、それらをもひっくるめて、魅力的な世界を描き出したものだ。 つくづく、惜しい人を早くになくしてしまったものだと思う。仮に『見知らぬ海へ…

『ミュージカル映画 ぼくの500本』双葉十三郎

97歳という、映画の『盛衰を誕生から今に至るまでリアルタイムでみてきた著者が、代表的な500作品を選び解説する』本。ミュージカル映画の、特に古いところに興味がある人間にとっては、読む読まない以前に、所有しておくべき本であろう。 個人的には年代順…

本屋で立ち読み

■『ヒトは食べられて進化した』ドナ・ハート、ロバート・W・サスマン タイトルに引かれて少し立ち読み。タイトルに該当しそうなところを探し、最終章を読む。本書で示されたアンチテーゼよりも、むしろその前提となるテーゼの方に違和感。おそらく西洋を中心…

『米原万里の「愛の法則」』集英社新書

米原万里の最晩年の講演をまとめたもの。晩年に書かれた文章の方では、政治的な部分での一種の絶望感のようなものが噴出していたが、この講演集ではそのようなこともなく、「いつも」の米原万里の姿が楽しめる。 第一章 愛の法則 第二章 国際化とグローバリ…

またアマゾンから本が届いた

アメリカの安いペーパーバックは腰がなくて嫌い。ぐにゃぐにゃで読む喜び、持つ喜びが感じられない。やだなあ。 ■追記 具体的にはコレ The Book of Origins: Discover the Amazing Origins of the Clothes We Wear, the Food We Eat, the People We Know, th…

ネタばれ

ハリー・ポッターといえば、最終巻が7月下旬に出たばかりである。日本語で読めるのはまだ先の話ではあるが、英語圏の子供にしてみれば、夏休みの楽しみの一つであろう。 ところが英国の小学校で、校長先生*1が『終業式』に、ハリポタ最終巻“Harry Potter And…

『イケズの構造』入江敦彦

私はこれから「京都人」に「偏見」を持つことにする。文句は著者に。 悪意があろうがなかろうが、こんなうざい人種は真っ平ごめんだ。というか、悪意もなくてこんなことをするのが当たり前の文化だというなら、もっと最低だ。若い現地人の間でそのような文化…

『敵は海賊・正義の眼』神林長平

実に10年ぶりの新作である。この、一流のエンタテインメントとして成立しておりながら不条理という傑作シリーズの続編を読めるとは、人生捨てたもんではない。 途中まではそう思って読んでいた。 いや、全体的に見てかなり面白いことには間違いないのだ。た…

『Holes』Louis Sachar

2001年に出張に出たときに、Popをつけて紹介されていたのを見かけ、なんとなく惹かれて買った児童小説である。その後で評判の小説と知り、良い買い物をしたと思ったところまではよかったものの、英語ゆえに読み進められずに放り出していたのだが、今回ようや…

嗚呼、玉杯に花うけて

呉智英『言葉の常備薬』の「漢語だから誤読」にて、『嗚呼、玉杯に花うけて』*1の歌詞は 嗚呼 玉杯に花うけて 緑酒に月の影宿し 治安の夢に耽りたる 栄華の巷低く見て 向ケ岡にそそりたつ 五寮の健児意気高し であるとの記述があった。「玉杯に花うけて」か…

指輪物語とロードス島戦記

遅ればせながら『ライトノベルは下敷きになった作品を知らないと楽しめない?』に言及。といっても本筋についてというより、些事について。 例えば、『指輪物語』から『ロードス島戦記』が生まれ(言われてみればこれは下敷きというには遠過だったかも。訂正…

『ピアノはなぜ黒いのか』斉藤信哉

あまり音楽関係の本を読んだこともないのだが、ピアノ販売、調律という、業界のちょっと脇の方からの視点ゆえに、あまり語られてこなかったピアノの姿を教えてくれる本であるように思う。 表題になっている、なぜ「日本では」ピアノ=黒という状況なのか言う…

『戦国の城』小和田哲男

あまり派手でもないゆえに脚光があたることが少ない戦国期(まで)の城に焦点を当て、その配置・設計の思想や具体的な普請・作事について、イラストもふんだんに交えてまとめた本。こう書けば面白そうだし、実際書店でも面白いと思って手に取ったし、読んで…

『講談・英語の歴史』渡部昇一

意外に面白い。本人が言うように、またタイトルにあるように語りおろしであるために、とても読みやすい。例も豊富でありながら、読むのが邪魔なほどの煩雑には至っていない。 話の流れ的にも、また、細かな点についても興味深い話が多く、借りた本だからプラ…

海賊関係本備忘

Life Among the Pirates: The Romance and the Reality作者: David Cordingly出版社/メーカー: Abacus発売日: 1996/05/16メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る 面白いと薦められたのだが、読んでない。

『逆説の日本史』 文庫版11巻

逆説の日本史(11)戦国乱世編 朝鮮出兵と秀吉の謎 (小学館文庫)作者: 井沢元彦出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/06/06メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 6回この商品を含むブログ (19件) を見る 新刊のところにあったから間違えて買っちゃったよ。図書館…

『古代のイギリス A Very Short Introduction ROMAN BRITAIN』ピーター・サルウェイ/訳・解説 南川高志

英語のタイトルどおり、ローマ時代のイギリスについての簡単な通史に、訳者の南川高志氏が解説「イギリスで「古代ローマ文明」を楽しもう」を付けたもの。 訳書のシリーズタイトル「一冊でわかる」が誇張表現になっていないと思えるほどに、訳部分も解説も両…

『女王陛下の英語』倉田保雄

イギリスの英語について書いた本。1994年の本だから、生もの的記述は少々傷みかけているかもしれない。ともあれ、小ネタの備忘メモ。この本には他にも色々なリストがあったりするので、手元にあっても良いかも知れぬ。 ⇒小ネタ (成り上がるに際しての)障害…

『なんで英語やるの』中津燎子

世界の共通語として必ず守らねばならない、英語の最大公約数的基礎ルールと日本人の発声の特徴 一.英語は人間同士の言語で、お互いの意思を伝達するために存在し、あらゆるほかの国の言語と対等である。 二.英語は、ある規定によって発せられた音を伴い、…

『この厄介な国、中国』岡田英弘

抜書きメモ 中国人の行動原理 中国人の行動原理=「指桑罵槐」桑を指して槐を罵る 『本当の怒りの対象とぜんぜん別のものを攻撃する』こと。当事者を直接批判しない。 例:教科書検定問題は[登阝](トウ)小平が党中央軍事委員会を廃止する動きを阻止するた…

西遊記5巻宝の巻

西遊記〈5〉宝の巻 (斉藤洋の西遊記シリーズ (5))作者: 斉藤洋,広瀬弦出版社/メーカー: 理論社発売日: 2006/11/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見る 金閣銀閣もとい金角銀角登場。だんだん元の話を忘れつつあるくら…

日本史系

しんどいので簡単なメモのみ。いずれもこれまでの見方を覆す感じで面白かった。結果的に「征夷大将軍」から3冊ほど、似たテーマで読んだことになった。 武家の棟梁の条件―中世武士を見なおす (中公新書)作者: 野口実出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1994…

『ロンドン 地主と都市デザイン』鈴木博之

近現代のロンドンを、どのような背景を持って発展してきたのか、解きほぐしてくれる本。公園や道の名前からその歴史が読み取れることを示してくれ、ロンドンの街を歩くにしても、このような歴史の厚みを知ると知らないとでは、さぞかし感慨が違うだろうと思…

『海の世界史』中丸明

タイトルどおり、海からの視点、航海の影響という観点からの大まかな通史。粗筋的には知っているようなことが多かったが、上記視点からの整理という意味で、なかなか面白く読めた。ただ、文章がふざけすぎていて、途中何度も放棄しかけた。内容的には悪くな…

『百姓から見た戦国大名』黒田基樹

戦国時代は慢性飢饉であり、大名の他領への侵略は「生産」活動であった。そのような時代における中世の村は、今で言う国家みたいなもので、「生活」のために不可欠の単位であり、構成員の私権を制約する公権力であった。戦争は村単位の紛争を解決するために…