レイモン・アロンの言葉

「なぜ人は共産主義に騙され続けるのか」と題された大紀元時報日本というサイトのコラムを見た。冒頭数行で内容には関心を失ったから特にリンクも貼らないが、そこで書かれていた、

 正直で頭のいい人は左派にはなれないというレイモン・アロンの言葉を知った

という一文が気になった。この原文はいったいどういう表記なのだろう。

 

まず英語のWikipediaWikiquoteを探してみた。見つからない。Googleで "raymond aron quotes" で検索して、いくつかの彼の「名言」を眺めてみた。見つからない。

 

Googleで日本語の記述を遡るうちに、どうやら上記引用表現は、2007年3月18日付け朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)論説委員のコラム*1によって人口に膾炙したらしいことがわかった。

 

今のところこれ以上遡れないので、後は識者の指摘に任せる。

 

ただ、アロン氏のいくつかの発言を読んでいると、あまりそのまんまのようなことを、少なくとも書き物で残すような人には思えなくなってきた。

 

以前「チャーチルの言葉」 という記事で、チャーチルに仮託された

若くして共産主義に傾倒しない者は情熱が足りない。
 年を取って共産主義に傾倒しているものは知能が足りない。 

という言葉の原文表記を探そうとして、誤った仮託であったという結論にたどり着いたことがある。似たような題材を取り扱っていることもあり、なんかこれと似たような状況じゃないのかなあ、という気がしているところである。

*1:リンクは切れているが、

http://sakura-makkiy.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_ff75.html などで引用されたものが残っており、内容を確認できる。