しきい値の有無は放射線防護体系の「大枠」か
id:tasoi 様
とても100字で収まる話ではなく、後でソースを確認して文言の修正をするかもしれませんので*1、はてダで。
http://b.hatena.ne.jp/tasoi/20140513#bookmark-194909014
『閾値の有無は,大枠ではない』という考えをお持ちということでよろしいでしょうか。
http://b.hatena.ne.jp/tasoi/20140515#bookmark-195035978
低線量被曝では閾値有無は科学的に把握されていません(と私は判断しています)。
⇒「大枠が把握されている」の大枠に“閾値の有無”が含まれるかどうかを,問うて確認した次第です
何を対象とした、何の指標の話か明示されていないので、このままではやはり回答不能です。
極端な話、DNA損傷ならどんな低線量であれ、しきい値などありゃしません。物理的に一粒子放射線が通れば確率的に損傷を受けます。皮膚がんには明確に非常に高線量のしきい値があります。大枠も何もない、それ自身で明確な科学的知見です。
しかしながら、予防原則に対する話であること、しきい値の有無は通常全固形がんの線量に対するリスク評価で問題となることが多いことから、一般的な、放射線防護(集団を対象とした予測評価)における、横軸を線量、縦軸を全固形がんにおける発がんリスクとした話として回答します。
ICRPはPublication 99(2005)で、組織(特定のがん)によってはしきい値の存在が認められていますが、普遍的なしきい値は認められておらず、将来的に科学的に存在が認められたとしても、値が十分に小さければ、その有無は、不確実性を考慮して構築された防護体系に影響しないとして、LNTモデルが放射線防護上のモデルとしては適切であるとしています。
しきい値がないとのモデルを使っておけば、その線量に対する発がんリスクを過小評価しない「予防的」なリスク評価ができるという「大枠」の中では、しきい値の有無は問題ではありません。
質問の意図として、(放射線防護における全固形がんの線量に対するリスク評価において)しきい値の有無が大枠を決定する大きな要素の一つであるのか、という意味なら、それは大枠じゃありません、との回答になります。
これでよろしいでしょうか?
「鼻血」問題に対応した違う指標の件についての話を意図されていたのでしたら、改めてそのあたりを明確にしていただければと思います。
*1:その際、意味内容に変更が生じる場合にはその旨明記するようにします。