遺伝子型によるダイエット指南の時代が始まっていた

ジムで、「DNA Slim」肥満遺伝子分析キットなる商品(サービス)がある事を知った。

一人ひとりの肥満因子に合ったダイエット法がレポートにより詳しくわかる、爪遺伝子分析キットです。爪(付属の爪切りで少量切ったもの)と問診表を分析センター(提携分析研究機関EBS中央研究所)に送ると、肥満原因である遺伝子を分析します。約2週間後、分析結果および毎日の生活習慣に関するアドバイスシートを送付します。先進のテーラーメイド型ダイエットをお試しください。

というものであるらしい。具体的に何をやるかと言うと、ADRB3, UCP1, ADRB2という3つの遺伝子について、その遺伝子型を求めてくれる。内容がもう少し詳しく書かれたページから引用すると:

■遺伝子による肥満を3つの遺伝子でチェック


それぞれ3パターンでタイプは27通り。
現在の状態と、将来の肥満リスクもわかります。


■3タイプの肥満関連遺伝子を分析します。
1. ADRB3遺伝子(β3アドレナリンレセプター)
インスリン抵抗性”の遺伝子です。糖分の代謝が低いことから糖分を過剰に摂りすぎるとお腹周りに脂肪が付きやすく、内臓脂肪型肥満発症の遺伝因子です。日本人はこの変異型を39%有します。
2. UCP1遺伝子(脱共役たんぱく質1)
“熱産生たんぱく”の遺伝子です。脂肪の代謝が低いことから過剰摂取や低体温症傾向の女性はとくに下半身に脂肪が付きやすい皮下脂肪型肥満発症の遺伝因子です。日本人はこの変異型を16%有します(肥満女性の約25%がこのタイプです)。
3. ADRB2遺伝子(β2アドレナリンレセプター)
脂肪分解に関与。基礎代謝を亢進します。ほっそりとしており、筋肉が付きにくいタイプです。カロリー消費も大きく普通は≪太らない≫タイプです。ただ一度太りだすと痩せにくい傾向があります(そのスイッチが入りやすいのは産後です)。日本人はこの変異型を16%有します。
※ 上記3タイプの遺伝子多型から分析します。それらは29種の基礎代謝タイプに分かれ、さらに1.糖代謝促進型 2.脂質代謝促進型 3.糖脂質代謝促進型の3タイプにグループ分けされます。分析レポートとダイエット・栄養・運動のアドバイスは29種の基礎代謝タイプを基にお客様へお届け致します。
※ この分析キットにおける個人情報保護並びにインフォームド・コンセントは、文部科学省厚生労働省経済産業省「ヒトゲノム・遺伝子分析研究に関する倫理指針」に基づき運営致します。


以上の肥満遺伝子を分析いたします。またこの分析結果からあなたの肥満状態を27のタイプに区分して、あなたがどのタイプであるかをチェックします。
分析結果には、該当するタイプと、今後の効果的なダイエット方法をアドバイスいたします。

また、FAQもそこそこわかりやすくかかれているように思う。


27タイプとは、これら3遺伝子について、それが正常型のホモか、ヘテロか、変異型のホモかを明らかにしたもので(33=27)、その遺伝子型によって、遺伝的に基礎代謝が多いか少ないかを示してくれるのだ。


要は、基礎代謝の遺伝的バックグラウンドを示してくれるだけで、実際にダイエットするのは結局個人の努力。目的を達成するために、その努力がどの程度必要な体質なのかを明らかにしてくれるだけ。まあ、極端に画期的な事を期待する向きには、結果のシートに書かれた事の淡白さ*1ががっかりって感じかもしれないが、自分の遺伝子型がわかるというのは楽しいものだし、「知人よりもこんなにも多く努力しているのに全然やせない」から挫折していたような人が、「私はやせにくい体質なんだから、仕方ない」とがんばる励みになるならば素晴らしいだろう。


お値段は12,600円。3遺伝子のいくつのlocusPCRするのか知らないが、まあ現状で期待できる需要に対する、爪からの抽出も含めた人件費込みのコストと考えれば、比較的妥当な値段付けかな、という気もする。こういう業界安すぎてもありがたみが無くなるんだろうから。



まあ自分ならもう少し遺伝子数、情報量が欲しいからやらない。半額未満程度ならシャレでやったかもしれないけど*2

*1:ジムに例がおいてあったのだ。

*2:単純に面白かったので、この手のものに対する評価としては、我ながら甘めの評価。