ABO式血液型の進化

ABO FAN/Prof. Saitou」における引用から。


まずはどのような対立遺伝子であるのか。斉藤成也『遺伝子は35億年の夢を見る』(大和書房)という書籍からの引用の引用。

1990年になって山本文一郎氏と箱守仙一郎氏らのグループが、A・B・O各対立遺伝子のDNA塩基配列を決定した。その結果、A対立遺伝子から作られるタンパク質とB対立遺伝子から作られるものでは、アミノ酸が4個異なっており、 またO対立遺伝子では1塩基の欠失突然変異が生じたためにフレームシフト(遺伝暗号の読み枠がずれること)が起こり、糖転移酵素の働きがなくなっているらしいということがわかった。

Naruya Saitou and Fumi-ichiro Yamamoto, Evolution of Primate ABO Blood Group Genes and Their Homologous Genes, Molecular Biology and Evolution, 14(4):399-411, 1997.からの引用として:

  • ヒトのABO式血液型遺伝子の進化は、少なくとも数百万年以上の歴史がある
  • ヒトと霊長類のABO式血液型遺伝子を比較分析した結果、A型から少なくとも(独立した)3回のB型への突然変異が発生したことになる
  • O型遺伝子は、A型遺伝子に比べて1つのヌクレオチドが欠落しているので、O型はA型からの突然変異によって発生したことになる

おまけ:ABO式血液型遺伝子の系統ネットワーク解析