死刑と犯罪抑止効果

らばQ : 死刑制度で殺人を防ぐ?!』というエントリをぶくまから知った。それによると

一人の殺人者を死刑にすることによって、3〜18人の命を助けることができたかもしれないという結果が出ている

とあるが、そのネタ元へのリンクが切れていた。これについて、ぶくまコメント中でid:ayacnews氏が元ネタリンクを示してくれていたので、その内容を、らばQさんともかぶるが、自分なりに備忘。


内容から見ても確かにネタ元らしきその記事は「Studies Say Death Penalty Deters Crime - washingtonpost.com」2007-06-11付。以下適当に興味を引かれた点を抜粋要約適当訳。

記事によると、多くの研究結果が、死刑執行による殺人抑止力があると示している。


国司法(記事ではNew Jersey’s commission on the death penalty)は、いまだその効果は決定的ではないとみなしている。


死刑反対論者ではあるもののデータからは抑止効果を示していると発言しているのは、コロラド大(デンバー)の経済学教授Naci Mocan。2003年の論文の共著者で、2006年にデータの再検討を行っている。結論は死刑執行一件で5つの殺人が減らせる、もしくは死刑を一件減刑するごとに5つの殺人が増える。


これ以外にも多くの研究があり、それらは失業者データ、収入と言った諸要素を考慮済みであるとのこと。


そこから得られた結論としてあげられた中からいくつかをピックアップすると:

  • Emory大学の結果では平均18件の殺人が一執行ごとに抑止される(2003年)。他の研究結果として、3、5、14件というのがある。
  • 死刑執行を早めると抑止効果は強まる。死刑囚監房棟収容期間を2.75年減らすごとに、1件の殺人が抑止される(2004年Emory大学)。

など。



リベラルで有名なシカゴ大の法学教授Cass Sunsteinは冤罪の可能性を挙げ、かつそれを措いてもデータが不足であると主張。その他批判も多くある。



Emory大学のPaul Rubinは、批判が研究の不備というよりも結論に向けられていると文句。「Let’s see what the data show」ではなく「let’s show this is wrong」と言ってくる、と。