「これはひどい」の中身がまるで違うので面白い


asahi.com:阪神大震災「首長判断遅く2千人犠牲」 石原氏が発言 - 社会

石原慎太郎氏は8日夜の会見で防災策に触れ、「神戸の地震の時なんかは(自衛隊の派遣を要請する)首長の判断が遅かったから、2000人余計に亡くなったわけですよね」と発言した。阪神大震災の被災地で反発が出ている


震災時の兵庫県知事、貝原俊民氏(73)は「石原さんの誤解。たしかに危機管理面で反省はあるが、要請が遅れたから死者が増えたのではない。犠牲者の8割以上が、発生直後に圧死していた」と反論する。


震災後に同県の初代防災監を務めた斎藤富雄副知事(62)は「全く根拠のない発言で、誠に遺憾。将来の備えのためにも、過去の災害を適切に分析してほしい」。神戸市に次ぐ被害を受けた同県西宮市の震災時の市長、馬場順三氏(81)は「震災を実際に体験していないから言える発言ではないか」と語った。

私はまず、そりゃこいつらは反発するだろうが、被災地の庶民がほんとに反発しているのか?と思った。


斎藤富雄副知事は「全く根拠がない」と言っているが、2000という数は「過去の災害を適切に分析し」た議論の対象にしても良いが、「全く根拠がない」という発言の語感からは、判断の遅れ自体を否定しているように感じる。「首長」の自衛隊要請の遅れがあったということは、もう「定説」かと思ってたんだが違うのか?


特に、貝原俊民兵庫県知事は、4時間以上自衛隊への要請が遅れたという具体的事例の主体として、眉毛村山富市元総理大臣(社会党)と並んで語り継がれている名前である。どの面下げて、『犠牲者の8割以上が、発生直後に圧死していた』などといえるのか。本当に「危機管理面で反省」している発言とは思えない。2割以下「しか」いないから4時間以上遅れたことも免責できるとでも思っているのだろうか。こっちの方が反発したくなりそうなものだが。


これはひどい」と思い、ぶくまをみると、おやおや。

とりあえず私の数えた時点で、価値判断を含めたコメントをつけてぶくましている数が、主観的な数え方で自分を除いて14件。うち、5件程度は、「都民が選んだ首長がコレ」といった風に、石原の発言を非難するものであった。「当選したらいきなりこれかよ。最悪。」というコメントには「これはひどい」タグまでついている。「これはひどい」と思ったその中身がまるで違うのが、面白い。



とはいえ、元の石原発言の全体がわからないので、今ひとつ判断しかねるところがある。とりあえず文章としては朝日しか伝えていないと思しき状況において、あの石原非難に重点を置いた記事からは、どういう文脈の元で、何を指しての発言であるのかが今ひとつわからない。


あと、数については、阪神淡路大震災の死亡者数は約6400。wikipediaの記載によれば、

「死亡者のうち5000人近くは、軸組構法の住宅の下敷きによって圧死した」

とある。八割以上とまではならない*1が、このようなものが貝原発言の根拠だろう。貝原発言に基づく割合ならばもちろん、この数字を採用しても、「2000人」というのは、若干多すぎる微妙な数値である。どういう計算に基づく数値だったのだろうか。まあ単に最大に評価した数字をさらに切り上げただけって感じもするけど。

*1:5000/6400=78%