共同通信イタリア担当記者の科学的リテラシーの欠如について

47News『中国製鋼材から放射性物質 イタリア、捜査を開始*1
msn産経ニュース中国製鋼材から放射性物質 イタリアで捜査開始
にてほぼ同文(産経で最終節が追加)の報道がなされた以下のような報道がある。

【ローマ1日共同】イタリアの捜査当局は、中国から輸入されたステンレス鋼材に人体に有害な放射性物質コバルト60が含まれていたとして、鋼材約30トンを押収、捜査を開始したと発表した。国営イタリア放送などが1日、伝えた。

同じ記事をまともな記者はこう伝える。読売新聞より。

【ローマ=松浦一樹】中国からイタリアに昨年輸入されたステンレス鋼材約30トンから、放射性物質コバルト60が検出されたため、伊警察当局が押収、搬入ルートなどについて捜査していることが分かった。ANSA通信が1日、伝えた。

共同記者のリテラシのなさといったらもう。そういうのに限って無記名。精々「人体に有害な放射性物質カリウム40」をたくさん含んだ食事を取り、「人体に有害な放射性物質ラドン222」を日本より多く含んだ欧州の家屋内の空気を楽しむがいいよ。

記事は原著論文の要旨に書いてある部分を避けて記述する、テクノバーン

Technobahnに『アゲハの幼虫は鳥のフンに擬態する、東京大学研究グループ』という記事があったので覗いてみた。『2008/2/25 18:41』というタイムスタンプの記事を見ると、

アゲハ(Papilio xuthus)の幼虫はホルモンの影響によって4令時までは黒と白の特徴的な紋様によって鳥のフンに擬態し、最後の脱皮によって葉に溶け込む緑色の紋様に切り替わることが東京大学の研究グループが21日、米科学雑誌「サイエンス」に掲載した論文によって明らかとなった。


この論文発表を行ったのは東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻適応分子機構学研究室の藤原晴彦教授。


藤原教授は、「昆虫の皮膚、卵などのたんぱく質にはGGYGGというアミノ酸構造が含まれるが、従来この構造が何をしているかは不明瞭だった」とした上で「硬いたんぱく質をつくるための構造と考え架橋実験を行った結果、GGYGGがチロシナーゼにより特異的に架橋できることを発見した。この構造を利用してプロテインチップなどへの応用が可能になる」と述べている。

とあった。


タイトルを読んだ後に前半を素直に読めば、『アゲハチョウの幼虫は、若齢時は鳥の糞に擬態し、その後緑の模様に切り替わることが明らかとなった』と読めないだろうか。しかしそんなことは、昆虫少年には周知の事実であって、今更『明らかとなった』というようなものではない。


で、記事の後半を読むと、今度は同論文発表者が、昆虫の皮膚などに含まれているたんぱく質アミノ酸構造GGYGGが、硬いたんぱく質をつくるための構造と考えて実験を行い証明したという趣旨のことが書かれている。


前半と全然繋がってなくね?


これは元論文に当たるしかあるまいと、Scienceのサイトに行ってみた。論文要旨の日本語紹介記事(リンクは多分テンポラリ)にはこうある(強調引用者)。

アゲハチョウの幼虫は変装の名手である。成長の初期段階においては、幼虫は白と黒の鳥のフン紋様をしているが、蝶になる前には生息する葉に似た緑色の隠蔽色なる。研究者らは、この容姿の変化を引き起こすホルモンをつきとめた。幼若ホルモンというこのホルモンは、鳥のフン紋様の成長段階終盤には減少する。幼虫にこのホルモンに似せた化合物を投与すると、緑色の隠蔽色になるのを抑制した

全然話が違うじゃないか。


英語の書誌情報を見ても、著者名の取り違えもないようである。

Science 22 February 2008:
Vol. 319. no. 5866, p. 1061

Juvenile Hormone Regulates Butterfly Larval Pattern Switches
Ryo Futahashi and Haruhiko Fujiwara


確かにテクノバーンの記事にも、冒頭に近い部分に『ホルモンの影響によって』というフレーズがある。しかし完全に従になっていて、埋もれている。これが原著論文要旨のメインだっつーの。


呆れたものだ。

千字文

web上にあったんだが、結構意味わかんない字が多いのな。旧字ってのもあるにしても。

天地玄黃,宇宙洪荒.日月盈異,辰宿列張.寒來暑往,秋收冬藏.閏餘成歲,律召調陽.
雲騰致雨,露結為霜.金生麗水,玉出崑崗.劍號臣闕,珠厚夜光.果珍李柰,菜重芥薑.
海鹹河淡,鱗潛羽翔.龍師火帝,鳥官人皇.始制文字,乃服衣裳.推位讓國,有虞陶唐.
吊民伐罪,周發殷湯.坐朝問道,垂拱平章.愛育黎首,臣伏戎羌.遐邇壹體,率賓歸王.
鳴鳳在樹,白駒食場.化被草木,褚及萬方.蓋此身發,四大五常.恭惟鞠養,豈敢毀傷.
女慕貞潔,男效良才.知過必改,得能莫忘.网談彼短,靡恃己長.信使可福,器欲難量.
墨悲絲染,詩贊羔羊.景行維賢,剋念作聖.紱建名立,形端表正.室谷傳聲,虛堂習聽.
禍因惡積,福緣善慶.尺璧非寶,寸陰是競.資父事君,曰嚴與敬.孝當竭力,忠則盡命.
臨深履薄,夙興溫清.似蘭斯馨,如松之盛.川流不息,淵澄取映.容止若思,言辭安定.
篤初誠美,慎終宜令.榮業所基,籍甚無竟.學優登仕,攝職從政.存以甘棠,去而益詠.
樂殊貴賤,禮別尊卑.上和下睦,夫唱婦隨.外受傳訓,入奉母儀.諸姑伯叔,猶子比兒.
孔懷兄弟,同氣連枝.交友投分,切磨箴規.仁慈隱惻,造次弗離.節義廉退,顛沛匪虧.
性靜情逸,心動神疲.守真志滿,逐物意移.堅持雅操,好爵自縻.都邑華夏,東西二京.
背芒面洛,浮渭據經.宮殿盤鬱,樓觀飛騖.圖寫禽獸,畫綵仙靈.丙舍傍啟,甲帳對楹.
肆筵設席,鼓瑟吹笙.升階納陛,弁轉疑星.右通廣內,左達承明.既集墳典,亦聚群英.
杜稿鍾棣,漆書群英.府羅將相,路俠槐卿.戶封八縣,家給千兵.高冠陪輦,驅轂振纓.
世祿侈富,車駕肥輕.策功茂實,勒碑刻銘.磻溪伊尹,佐時阿衡.奄宅曲阜,說感武丁.
桓公匡合,濟弱扶傾.綺迴漢惠,說感武丁.俊入密勿,多士實寧.晉楚更霸,趙魏困膻.
假途滅虢,踐士會盟.何遵約法,韓弊煩刑.起剪頗牧,用軍最精.宣威沙漠,馳譽丹青.
九州禹跡,百郡秦併.嶽宗恒岱,禪主云亭.雁門紫塞,雞田赤城.昆池碣石,鉅野洞庭.
曠遠綿邈,岩岫杳冥.治本於農,務茲稼穡.叔載南畝,我藝黍稷.稅熟貢新,勸賞黜陟.
孟軻敦素,史魚秉直.庶幾中庸,勞謙謹敕.聆音察理,鑒貌辨色.貽厥嘉猷,勉其祗植.
省躬譏誡,寵筯抗極.胎辱近恥,林睪幸即.兩疏見機,解組誰逼.索居閑處,沉默寂寥.
求古尋論,散慮逍遙.欣奏累遣,感謝歡招.渠荷的歷,園莽抽條.枇杷晚翠,梧桐早凋.
陳根委翳,落葉飄飄.游鯤獨運,凌摩絳霄.耽讀玩市,寓日囊箱.易輶伏畏,屬耳垣牆.
具膳餐飯,適口充腸.飽飫烹宰,飢厭糟糠.親戚故舊,老少異糧.妄御績紡,侍巾帷房.
紈扇員潔,銀燭煒煌.晝眠夕寐,藍筍象床.弦歌酒宴,接杯舉觴.矯手頓足,絓豫且康.
嫡後嗣續,祭祀蒸嘗.稽桑再拜,悚懼恐惶.箋牒簡要,顧答審詳.骸垢想浴,執熱願涼.
驢騾犢特,駭躍超鬤.誅斬賊盜,捕獲叛亡.布射僚丸,嵇琴阮嘯.恬筆倫紙,鈞巧任釣.
釋紛利俗,并皆佳妙.毛施淑姿,工嚬妍笑.年矢每催,曦暉朗曜.旋璣懸斡,晦魄環照.
指薪修祜,永綏吉劭.矩步引領,府仰廊廟.束帶矜庄,徘徊瞻眺.孤陋寡聞,愚蒙等消.
謂語助者,焉哉乎也.

参考:千字文 原文

未来的パジャマ

Internet JourneyのUN Today『2/5 ホテル・チェーン「Travelogde」、安眠のための特殊なパジャマを開発!』経由、Daily Mail『Sci-fi suit? Actually, it's my Travelodge pyjamas

ワロタ。



UK Todayの記事から特徴を抜き出すと、以下の通り。

皮膚のかゆみを抑え、睡眠中の体温を一定に保つという特殊なパジャマ

絹を編み込んだ、「Darmesilk」と呼ばれる素材でできているパジャマを開発。色は白1色のみでフードや手袋、靴下つき。顔以外の全身を覆い、一見SF映画に出てくる服を連想させるものだが、通気性がよく、湿疹や皮膚炎などによるかゆみのせいで夜なかなか眠れないという人にも適しているという

面白いんだけど、色気ねーなー。(いやこれはこれで…)

「全日本放屁愛好会」?

えと、念のため冒頭で強調しておくと、以下に引用するエントリの本題は、非常に真面目なものであります。ただ、その中のたとえ話の部分に個人的に異常にうけてしまったためぶくまのエントリ化*1


喫煙ファシズムからのわが闘争? - 大惨事!過下郎日記』より。強調引用者。

バカバカしいが、こんな例えはどうだろうか。下品な話だが、僕は屁をひることが好きだ。自分でも驚くようなニオイ・音の屁が出たときには、なんともいえない愉快さが腹の底から起こるし、腹の中の余計な物が放出されたようですかっとする。家人がそれに何かしらの反応を示してくれれば、もっと楽しい。僕としては全日本放屁愛好会でも作って、公共スペースでの放屁活動を積極的に実施し、このバカバカしい愉楽をみんなで分かち合いたいとさえ思う。

活動の理念の前提部分には密かに賛成w。でも団体名がなんとなく、惜しい。


べたべたではあるが、やはり「日本放屁協会」(Nippon Houhi Kyoukai)というのは捨てがたい。


いやまてよ、英文の略称を考慮に入れると、ブログ主の提案する「全日本放屁愛好会」(All Nippon Abdominal-wind club)という案も結構いいかもしれない。


ただこの案だと、最後のclub(「全日本放屁協会」ならassociation)が略称に含まれておらず、若干落ち着きが悪い気がする。ここは最後をLeagueに変えて、「全日本放屁連盟」(All Nippon Abdominal-wind League)にしても面白いかも。


いかがでしょうか*2

*1:こういうところを抜き出す辺り品性下劣と言うかおこちゃまというか。

*2:こんなものをいかがかと言われてもなあ。>自分

ヲチ日誌

2008年2月11日 (月) 00:27; 58.91.199.13 (会話) による版

同様の論文を日本血液学会雑誌に投稿すると、新しい知見は有るが内容が悪いと言う理由で掲載を拒否された。ただ「内容が悪い」というだけで、どこがどのように悪いのかという指摘が全く無く、誠意のない態度であった。

  1. 「同様の論文」を二重投稿しちゃダメだろ。IJCO誌の前にrejectくらったっていうことならば書き方は別だろ。
  2. まあ適当な理由でrejectっつーのはよくあることでないかい?新規性が強いことをやってる自覚があるなら、一個のrejectくらいで『学会からは無視された』などと泣言こぼすなよ。
  3. てゆーかそもそもIJCO誌に該当論文が見つからない件*1

*1:SakouもしくはSako。MedLineでも同様。