『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』★★★★☆

実に映画の作りがうまい。あまり期待を抱いていなかった分、良い方向に裏切られたので高評価。


原作を読んだのも随分前なので詳細は覚えていないが、全体的な感想としては、「ハリーが馬鹿すぎてイライラする」、というものであった。
例えば(一応背景色で)スネイプの記憶をハリーが見るシーン。映画では術を反射するという形で、一種「成果」のような形で語られるのだが、原作では、読心術の訓練において邪魔となる記憶をスネイプがわざわざよけておいたものを、覗き見るという、卑劣ともいえる形だったはずである。
ことほどさように、原作であまりに行動が馬鹿すぎるためにハリーに感情移入しがたい類のエピソードは省き、実に見事に纏め上げているように思えたのであった。*1


それにしても、今回の敵役アンブリッジを演じたイメルダ・スタウントンImelda Staunton、見事である。非常に憎憎しい。そして、着任の演説の際などの英語が実に聞き取りやすい。さすが英国の大女優*2である。

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
イメージはサントラCDより。

■追記

今回印象に残ったのは、上記アンブリッジ役のイメルダ・スタウントンと、ベラトリックス・レストレンジ役のヘレナ・ボナム=カーターであった。ヘレナ・ボナム=カーターについてWikipediaで調べてみたところ、『チャーリーとチョコレート工場』に出演とある。どの役かと思ってみてみれば、

バケット夫人:ヘレナ・ボナム=カーター

おいおい、あの貧乏が板に付いてはいるものの優しげなお母さん役かい。「不死鳥の騎士団」ではエキセントリック極まりない女。女優は怖い。


ちなみに、ヘレナ・ボナム=カーターの先祖を遡ると

元イギリス首相のハーバート・ヘンリー・アスキス*3は曾々祖父にあたり

とのこと。へぇ。

*1:ブログを探索していて、ハリーの感情の動きを示す、ヴォルデモートに付け入る隙を与えてしまった遠因にあたるエピソードが削除されており、強調をおく部分を間違えているという主張も読んだ。それはそれで妥当なのかもしれない。

*2:OBEの称号を持っているらしい。ちなみにマクゴナガル先生役のマギー・スミスはデイムを名乗ることもできるDBE。更に格が二つほど上。さらにちなみにハグリッド役のロビー・コルトレーンもOBE。意外?なところでペチュニアおばさん役のフィオナ・ショウはOBEの一個上、DBEの一個下のCBE。

*3:オックスフォード及アスキス伯ハーバート・ヘンリー・アスキス(Herbert Henry Asquith, Earl of Oxford and Asquith 1852年9月12日 - 1928年2月15日