『イギリス英語の裏表』小林章夫

イギリス英語の裏表 (ちくま新書)

イギリス英語の裏表 (ちくま新書)

借りた本なんだけど、ところどころ読んだことがある気がするところがある一方で、全体として記憶が無いような。


英文学、英国文化の大家である(多分)著者の、「イギリス人の英語の一端を紹介する案内書」。著者が自ら語るごとく、

イギリス人が英語とどうつきあってきたかを主筋として、そこにいろいろな情報を盛り込みつつ、イギリス人の特徴なども背景に描きこみながらひとつの本にまとめた

もの。



以下抜書き。一般に見て面白いことというより、単に、抜書き。

  • 「シャラワジ」の起源(p.33)

庭園の用語でシャラワジ(sharawadgi/sharawaggi)というのがあるらしい。

テンプルの言葉によると「わざと不定形な美を生みだして、その美しさを表現する言葉として中国語にある」もので

と紹介されており、もともとの語源は不明で、中国語という説もあるが、中国語にも対応する言葉が見当たりがたいらしい。
という中で、日本語由来という説が出てきたとか。

日本語の「揃わじ」から来ているというのだ。揃わない、揃っていないの古語‘sorowaji'ならぴったり意味もあうし、発音も大いに似ているというわけである。

  • 飲む酒も違う(p.114)

階級によって飲む酒が違うという話。Pimm'sはupper-middleが良く飲むのだとか。へぇ。

  • わざとどもる(p.118)

階級によって違うしゃべり方の一環として、

努力して上流にのし上がった人間は、自分が到達した地位をひけらかすごとく、わざとどもってしゃべるのだそうだ。つまり、自分はあまりに頭の回転が速いので言葉がそれについていかないのだ、と世間にアピールするわけである。よく見てみろ、そういう奴はテレビに出てきて必ずどもるから。

へぇ。

  • 「東は東、西は西」(p.143)

最初の一行だけを取り上げて「東西文明は決して相交わることがないといったせりふととられることが多い」ラディヤード・キプリングの『東と西のバラード』(The Ballad of East and West)の有名な台詞(詩)。

Oh, East is East, and West is West, and never the twain shall meet,
Till Earth and Sky stand presently at God's great Judgement Seat;
But there is neither East nor West, Border, nor Breed, nor Birth,
When two stron men stand face to face, though they come from the ends of earth!

ああ、東は東、西は西。両者が出会うことなし
大地と空とが神の偉大なる審判の席に並ぶまでは。
だが東も西も、境も人種も、生まれもない
二人の強者がこの地の果てから来て、立ち会うときには。

西にいる人間も東の存在は無視できなくなったことを認識したものである。単に大英帝国の栄光を歌って、自尊心を強く表に出したものではないのだ。