ツボカビ症について備忘

WWFジャパン「カエルツボカビ症侵入緊急事態宣言」:http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/biodiv/alien/chyt2007/emgc20070113.htm

世界の両生類(カエル、サンショウウオ、イモリなど) 5,743種のうち、120種が 1980年以降に絶滅したと推測され、さらに1,856種(32%)は絶滅のおそれがあるとされています。このような急激な絶滅を加速させている原因の一つとして、1998年に発見された「ツボカビ症(chytridiomycosis)」があげられています。現在、ツボカビはIUCN(国際自然保護連合)による外来生物ワースト100にもリストされ、世界的な監視が必要とされている感染症です。


ツボカビ症は、真菌の一種であるBatracochytrium dendrobatidisによって引き起こされ、致死率が高く(90%以上)伝播力が強いために世界中で猛威をふるい、すでにオーストラリアや中米の両生類が壊滅的な打撃を受けています。また、野外における防除方法は、確立されていません。野外のカエルに流行した場合、根絶は不可能です。このため、オーストラリアでは輸出入検疫を強化するなど、国をあげて対策に取り組んでいるところです。


この感染症が原因でカエルの個体数が減少したり、絶滅に至る可能性があります。多くのカエル類が減少すると捕食していた昆虫などの増加、カエル類を主な餌としていた上位の捕食者(鳥類やヘビなど)への影響からわが国固有の生態系全体が破壊されてしまう恐れがあります。


ツボカビ症が確認されていないのは、これまでアジア地域のみとされてきました。残念ながら、国内の飼育中のカエルから2006年12月25日にツボカビが検出され、初めてわが国への侵入が確認されてしまいました。
私たち共同署名団体は、この事実を重く受け止め、緊急事態を宣言いたします。わが国に生息する両生類と生物多様性保全するため、私たち専門家は速やかに行動計画を策定し、可能な限りの努力を尽くす所存です。同時に、それぞれの主体に対し、責任ある行動と以下の提案の実施を期待します。

以下

  • むやみに野生の両生類をペットとして飼育することの自粛よびかけ
  • 両生類以外への感染報告がないことを強調
  • 飼育中の個体に異変があったときの対処法
  • 特に死亡したカエルを飼育していた汚水を排水口や野外に排水することの禁止
  • 飼育個体を野外に放つことや死亡個体の野外投棄の禁止

など。


麻布大学のサイトでは

飼育下であれば、疾病コントロールは可能。
1)非侵襲的診断法がある。(PCR
2)消毒法がある。
3)治療法がある。
人間には感染しない。
飼育放棄する必要はない。

ことが書かれている。