『ICRP2007報告書への疑問』に関して
まずお答えから。
LNTモデルは“リスク管理における最善の実際的アプローチ”である,という評価ですね.(まあこれを2文字に圧縮するとなれば.「妥当」でも悪くないとは思いますが・・・.)
私はその意味において「妥当」と呼ぶことを誤読と呼んだのでないことくらいお分かりでしょうに。
そのことを前向きなリスク評価に用いることを「妥当」と呼ぶことは間違いではないかと言う指摘です。引用部分においては、その意味においても「妥当」と呼ぶことを悪くないとの主張をされたいのでしょうか。
以下本題。
この仮定に基づいたリスク評価を,代案も示さずに「禁止」するのは全く不合理と言うべきである.
国際的なコンセンサスが得られないからこそ、このような形で“誤用”に対する警告が出されているわけですから、それに対する国際的なコンセンサスを持った回答を提示できるはずがありません。
加えて、手っ取り早くセンセーショナルに訴える手段がないからといって、評価手法がないわけではないでしょう。例えば既に存在する被曝や、既知のリスクと比較すればよいのです。
例えば既に存在する被曝との比較で言うならば、Fairleらの計算では集団線量を7400人・Sv/年としています。これは地球人口(pdf中で60億と言及)を対象にしているため、一人当たりで言えば、1.2μSv/年ということになります。これと比較可能な数値はいくらでも転がっているでしょう。
年間の世界平均の被曝量が2.4mSvであること。住環境におけるラドンがその半ば以上を占める潜在的に重要な問題であること。フォールアウトの被曝量が年間10μSvのオーダーでいまだにあること。日本ではそれより0.5〜1mSvほど低い推定値が得られていること。その日本国内においても、地域間で自然放射線量の変動の幅が0.1mSv以上もあること。自然放射線でなければ、チェルノブイリの欧州における一般的な被曝量でもいいでしょう。これらとの比較を提示して、いかにそれが重大な問題であるのかをご理解いただけばいいではないですか。
地道に理解を得ようとするのではなく、センセーショナルに脅して目的とする成果を得ようとするのは、前にも書きましたが個人的にはテロ*1の一種だと思います。テロのツールを禁止することが「不合理」とは思いません。
最後に
このような公共性の高い文書に著作権がclaimされ,有償でしか閲覧できないというのは全くおかしいと思います
心情的には同意します。