とりあえずお返事

id:yamamoto9さま。コメントいただきありがとうございました。ブログのコメントにも書かせていただきましたが、補足も兼ねて。

低線量域の生物効果についてICRPはこの報告書で,「線形,閾値なし」(LNT)が現時点では妥当なものと認めている.

(65) Therefore, the practical system of radiological protection recommended by the Commission will continue to be based upon the assumption that at doses below about 100 mSv a given increment in dose will produce a directly proportionate increment in the probability of incurring cancer or heritable effects attributable to radiation. This dose-response model is generally known as ‘linear-non-threshold’ or LNT. (以下略)

と言いながら,この仮定に基づいたリスク評価を,代案も示さずに「禁止」するのは全く不合理と言うべきである.

は誤読です。ICRPはLNTについて、無条件に科学的に妥当と述べているわけではありません。引用された部分にしても、

the practical system of radiological protection

とあるように、放射線防護の現実的なシステムを定めることの基礎の部分において、LNTモデルを仮定しておくことを妥当と書いてあるだけです。取敢えずこの仮定で規制を行えば、現時点の科学的知見からは、大きく外すことはないことが期待できるとしているのがICRPの立場です。仰られているような誤読をするな、とする文章が、まさに繰り返し出てきます。


ICRPが推奨している集団線量の使い方は、最適化の道具としてです。グリーンピースの報告書で、Fairlie博士が結論部(32パラグラフ)で述べられているような使い方*1をすることが推奨されているのでしょう。

*1:ちなみにFairle博士のその辺りの論述に関しては、具体的にその妥当性を論じうるだけの背景を持ち合わせておりませんので、触れません。