原爆症認定見直し議論決着
以前触れた原爆症認定の見直し(2007年11月26日/2007年11月28日)について、一応の決着がついたという報道があったので、備忘。
朝日新聞「原爆症の審査基準「原因確率」廃止し認定拡大へ 厚労省」(cache)
原爆症認定基準の見直し問題で、厚生労働省は17日、爆心地からの距離など一定条件を満たせば積極的に原爆症と認定する新たな審査方針を与党プロジェクトチーム(PT、河村建夫座長)に示し、了承された。現行の審査の柱である「原因確率」は審査には利用しない。新基準は昨年12月に与党PTがまとめた案に沿う内容で、被爆者側は「裁判の全面解決の第一歩となる」と評価。見直し議論は一応決着し、新基準は今春から運用される予定だ。
ということで、概ね11月に触れた与党プロジェクトチームの案の通りということに決まったようだ。
基本的に
- 事務レベル
- 原因確率が10%以上であれば自動的に認定
- 審査会自動認定
- 一定以上の被曝を受けたと考えられる人が特定の疾病を発症した場合
- 審査会個別審査
- ほかの病気など、条件にあてはまらない場合。被爆直後の急性症状やこれまでの病歴などから総合判断
という三段階で認定が進められるとのこと。
審査会でほぼ自動的に認定される条件とは、
- 爆心地から約3.5キロ以内で直接被爆
- 原爆投下から約100時間以内に爆心地付近に入市
- 100時間を多少過ぎた後でも1週間程度滞在
のいずれかを満たし、『がんや白血病、副甲状腺機能高進症*1、放射線白内障、心筋梗塞の5種類の疾病を発症した場合』
ポジティブにもネガティブにも若干の突っ込みどころはあるが*2、救済と言う意味では概ね妥当な方向性でまとめられたような気がする。
一点報道で気になるのは『「原因確率」廃止』とある部分。これまで通りの原因確率が10%以上の場合は自動的になるだけで、「廃止」ってのとはなんか違う気が。まあ従前の条件や以前の厚生労働省案への反発に対し政治的に決着をつけたという流れではこのような方向性を謳わざるを得ないというのも理解は出来るんだけどね。