『原発が地球温暖化の問題対策的には良い』?

id:buyobuyo氏に『エコ?』への言及をいただいた(多謝!)。ただ、そのエントリのタイトルが『「原発が地球温暖化の問題対策的には良い」っていうのは簡単には首肯できない』であり、

確かに原発二酸化炭素出さないけど、それだけで地球温暖化の問題対策的には良いとは簡単にはいえないと思うよ。

とコメントいただいたことには納得いかない。


野暮を承知で先のエントリの論旨を説明(言い訳)すれば、

反核を究極のエコと表現する集団があるらしいが、生態系に与える影響という点で考えれば、核*1は温暖化と比べれば相対的には限定的であると思われる。従って「究極のエコ」と呼ぶなら温暖化のほうがふさわしい*2

というのみである。核と温暖化の生態系への影響の程度だけを比較しており、相互の関連については言及していないつもりである。


その相互の関連で言えば、このエントリのみならず、遡っても、完全に「原発二酸化炭素出さない」との立場で発言したことはないつもりなのだが*3。発電単独ではCO2を出さぬように見えても燃料生産・廃棄物処理を考慮すればCO2の収支の収支は+になるとする意見に対して、それらを考慮に入れても一応−になるとする別の試算もあるというものを提示したことはある。その程度にはargumentの存在も知っている一方で、それぞれの主張を、根拠にまで遡って検討したことはない。だから、自分では「原発は温暖化の問題対策的には良い」とまで言い切る自信はない。



以上言い訳。



で、buyobuyo氏のエントリ後半では、二酸化炭素以外にも原発と温暖化の関連が疑われている例として、温排水が日本海の温度を上げているという説が紹介されている。この説については私も以前、ヲチしている反核の方のブログで話をみかけていたものであったのだが、今回buyobuyo氏のエントリに対するコメントとして、id:andalusia氏から、『海面水温の長期変化傾向(日本海中部)』というサイトのデータが紹介されていた。主な図を一枚引用すれば、以下のようになる。

すなわち、確かに二十世紀の日本海の海水温の変化を全体的に眺めれば、100年間に約2℃も平均水温が上がったような近似直線を引くことが可能である。しかし、実際には第二次世界大戦の前と後で大きく異なっており、必ずしも日本海に臨む原発の建設*4と水温の変化が一致していないというのだ。


私もこのグラフからはそう読めちゃうな。

*1:念のためここでも追記するが全面核戦争のようなケースは除く。その場合の「核の冬」は生態系を揺るがす規模という話ではなかったか。

*2:という表現ではなく、(他に「究極」がある以上)究極などと呼ぶな、という類の表現であったが。

*3:過去にいろんなところにつけたコメントを全て遡っていっても、多分。

*4:そもそも日本最初の原子力発電は1963年10月26日。商用原子力発電の開始は1966年7月25日。ただし東海発電所(茨城)。福井の敦賀は1970年3月14日、美浜は1970年11月28日運転開始。柏崎刈羽に至っては1985年9月18日運転開始。以上取敢えずwikipediaから切り張り。