原子力ロケットで月面基地を作ろう
NewScientist誌の6月28日付け記事に「Nuclear rockets could cut cost of Moon base」というものが出ていた。
原子力ロケットを使用することで、月面基地を作るためのコストを削減できるという発表があったというものだ。
第一段目では普通のロケットで地球周回軌道まで行き、そこから月軌道まで行く第二段目を原子力にしても問題あるまいということなのだが……。やっぱ抵抗あるなあ。
一応理屈はわかる。
人体影響に関係することとしては、
燃料の被覆をより強固なものとし放射能の排気への漏洩が少ないものに改良する
そもそも宇宙に出るまで原子炉には点火しない=それまでは燃料のウラニウムだけが問題
⇒ウラニウムは放射能が低い
⇒さらに燃料はタングステンで厳重に囲ってあるから、ロケットが万一打ち上げ中に爆発したり万々が一再突入しちゃっても大丈夫
クルーについても、
宇宙空間に出るだけで被曝がバンバンあるから、この程度の+αは没問題*1。
過去の実績においても、
このいずれの理屈も理屈としては納得いくものである。
その一方で、反応後に生じた活性の高い放射能が本当に地表に戻ってこないとは、誰も保障が出来ないんではなかろうか。おっこってきたらとんでもないダーティボムになると思うんだが。
二段目をどう処理するつもりなのかまではかかれていないが、もし宇宙空間にトンデケー( `д´)σ =・ ってだけじゃあ、遠い未来、でも遠すぎない未来に戻ってきちゃったりする可能性もありうるんではないかと心配してしまう(杞憂?)。
それではこれによって得られるコスト削減とはどんなものかというと、
ということらしいのだが、うーん、果たしてそんなにうまくいくのだろうか。確かに額は大きいし、打ち上げコスト全体の割合で見ても約1/10である。しかし、それをケチるリスクは「確率的に」無視していいものなんだろうか。
*1:追記:無問題と没問題についてググってたら、中国語でのニュアンスは、『多くは「問題はあるが何とかなるでしょう」という慰めに近い意味合い』だと書かれているサイトを見つけた。ちなみに「没問題」は北京語のメイウエンティで、「無問題」は広東語のモウマンタイを、広東語でしか使われない字で書かれていたモウの部分を、同じ意味の「無」で表したものだとか。以上余談。