電波ゆんゆん
「依存症の独り言」さんのコメント欄にてたろと蜂の巣なるページが紹介されていた。
その紹介文がこれ
この国に天皇はいらない。
『皇族はそんなに偉いのか?私たち“人間”とは、違ったDNA配列でもしているのか?神に選ばれし一族なのか? 違う!DNA鑑定でもしてみろ!私たちと同じ2重らせん構造の、同じような塩基配列をもつ、おなじ人間である。聖徳太子の「でっちあげ」によって、国民は約2000年もの間、皇室にだまされ続けている!』
レベルゼロの視点で、これからの国のあり方を問いませんか?福祉国家にするために。
その電波ゆんゆんぶりを実際に観察してみるために訪問してみた。
サブタイトルがこう。
この国を本当の福祉国家にするために、私は残りの人生を捧げます。格差拡大社会を批判し、皇室を批判し、社会構造を問います。
全部を読んだわけではないが(読みたくもないわ)、概ねこのサブタイトルどおりの内容である。ルサンチマンにあふれており、実に醜い。いちいち指摘するのも馬鹿らしいくらい誤認が多いし、言っても聞く相手ではあるまい*1。それにしても、皇室ってのはこういう相手にとっても、ルサンチマンを噴出させる「象徴」となってしまうんだね。大変だ。
というわけで、一点だけ指摘しておしまいにしよう。
この女性(文中にそれとわかる記述がある)が何度か繰り返している記述に、以下のようなものがある。
先日、私はこの国の皇室を批判した。年間2兆ものムダ金が、たった23人の維持のために使われている。そんなことに巨額の税金が使われるのなら、その分を福祉へまわせと論じた。
えーと。「この国」ってのはどこの国の皇室の話だ?
日本国の皇室についてならば、
と、公務と関係ない部分では約6億*2。御所とかの「文化財」の管理費や、公務の費用を加えても175億にしかならないんだが?
ちなみに、引用もとは下記だが、一応国家予算のサイトを探して、額に大きなずれがないことは確認した。
http://wwwz.fujitv.co.jp/takeshi/column/takedatsuneyasu/takedatsuneyasu10.html
一方参考までに、そちらにまわせといわれている社会保障関係費も出しておこう。
平成18年度国家予算における社会保障関係費総額20兆5739億円(平成17年度から1931億円増)。その内訳は:
- 社会保険 16兆1621億円(同2983億円増)
- 生活保護 2兆461億円(同1231億円増)
- 社会福祉 1兆5117億円(同1326億円減)
- 失業対策 4327億円(同337億円減)
- 保健衛生 4213億円(同619億円減)
平成17年度と比較して18年度で減少した分をみたとき、その減少分が一番小さい失業対策費の減少分すら、皇室関係費を全部まわしても、まかなえないんだが?
その一方で、皇室の経済効果については、著者自身が愛子さんが生まれただけでも1500億円あると認めている。
まず、確かに経済効果はある。9月6日に報じたロイター通信によれば、「経済効果1500億円とも」と書かれている。日経新聞など各社も経済効果と「めでたい」という言葉を連発していた。
ほら、それだけでもう「費用」の10倍近い。
そして一般に皇室が担っている役割に思いをいたすなら、同じ外交を行うときに、プレステージの低い一般人がやるより、ローマ法王と並ぶ格を持つ天皇やその一族が行う方が、費用対効果が非常に高いことは自明であろう。
それにしても、二兆円ってのはどんなソースがあっての数字なんだろう?