篠有紀子「フレッシュグリーンの季節」(白泉社)

極私的漫画ベストを読み返し*1、何か言葉を補いたくなったので*2、とりあえず標記の作品について語ってみよう。

高校の時、友人が図書委員の先輩(女性)に薦められてはまり、私もそれに引きずられてはまった。さらにはその先輩経由で、成田美名子(「エイリアン通り」等)にも初めて接した。白泉社系の少女漫画にはまるようになったのはこの辺りからである。そういった経緯もあってこれらの少女漫画には、女性の物の考え方という、男にとっての最大の謎の一端に触れるということの魅力*3も当時感じていたように思う。

加えて、この作品に出会った時は主人公たちとちょうど同年代。何かしなきゃいけない、何かしたい、でも夢中で何かをしている姿ってのも何か気恥ずかしくて格好悪い、たるい、でもやはり何かに思いっきり打ち込んでみたい、そういった混沌とした気分に、何か一筋通してくれたような、そういう気分を与えてくれた作品であった。

一種記念碑的作品であったのだが、近年古本屋で発見して再読する機会を得た。しかし、上記のような「青春時代」の「青さ」に根ざした部分で揺れ動かされた作品だっただけに、当時の狂おしさのような物は既に感じることができなかった。

*1:ついでにコメントアウトしてあった初出情報等を注の形に変更。同じくコメントアウトしてあった次々点の作品を明示。

*2:実物が手元にも無いし、能力的にも批評とまではできないところが何だが。

*3:思えばこの「テーマ」での読書はずいぶん長く続いたと思う。リスト中の入江紀子(20代後半から30歳前後当時)、西村しのぶ(20代前半当時)、粉味(10代後半当時)あたりは、ほとんどその魅力「だけ」で読んで(はまって)いたのではなかったかと、これを書いていて気づいた。