The Phantom of the Opera

さて、せっかくロンドンに泊まるのだから、普段はできない夜の過ごし方をしたい。というわけで、これまで帰宅のバスが無くなるかもしれないと避けていた夜の部の公演を観に行く事にした。

とはいえ予約はなし。できれば「Billy Eliot」(映画「リトル・ダンサー」のミュージカル)か、「The Phantom of the Opera」(「オペラ座の怪人」)が観たい。Mamma MiaのPrince of Wales Theatreからはオペラ座をやっているHer Majesty Theatreが近いので、劇場に行ってみた。が、当日券は売り切れ。

どこかにチケットはないかと、レスタースクエアにある安売りチケット屋を目指して移動中に、そこら中にあるチケット屋の一軒にふと入ってみて、オペラ座ある?と聞いてみた。すると、あるよ、というではないか。

よくわからないが、「Grand circle」の前の席だと言う。「Centreか?」と聞くとそうだと答えるので、ならば、と一枚£21だかの席を£35で買う。

チケットを見るとA-3,4となっている。どう見てもCentreじゃないじゃん(^^;。劇場の座席案内を見ると、2階席の一番端、舞台向かって右上の袖の席。ステージには近いんだが、右端はほとんど見えない。まあ最前列だからよしとしましょう*1

劇場内は、さすがに女王様の名前を冠するだけあってか、豪華な作り。そして何よりもセットがすごい。さすがロングランの優良公演である。始まる前から何かが違うと言う感じである。

音は、オケピのオケに加えてパイプオルガンの演出に使うシンセが二台。これらが奏でる、おなじみであった筈のあの旋律が劇場内に響くと、それがそのまま心に響いてくるのである。

劇中劇でバレエも見ることができ、そして歌もうまい。歌の台詞なんかは当然聞き取れないのだが*2、歌や曲が適切に掻き立ててくれる感情の流れと、事前に調べておいたあらすじの助けもあってなんとかついて行けた気がする。なによりも終盤は「怪人」の切なさが伝わってきて、結構じーんときてしまったのだった。

出演者の歌声はどれも魅力的で好きなのだが、とりわけ「怪人」役の人が絶品であった。容貌、声質とも、まさしく「怪人」の魅力を表していたように思う。

これまで日本を発つ前からこれは絶対!と心に決めてきていた「Chicago the Musical」「We will Rock You」「Mamma Mia」といった三大人気ミュージカルを見てきたなかで、元々あまり見るつもりではなかった「オペラ座」が最も印象深かった。おかげであの耳慣れていた筈のメインテーマの旋律が、とっても深い陰影を帯びて感じる事ができるようになったくらいである。

できればまた、今度は1階席の中央付近から観てみたい物だ。

皇太子(Prince of Wales)と女王陛下(Her Majesty)をはしごした一日であった。

*1:開演前に背中は座席にしっかり着けた状態で観劇してくださいとのアナウンスがあったので、乗り出してみるというわけにはいかなかったが。でもそういうアナウンスをきちんとするのは偉い。実際後ろの席の人、見えなくなるもんね。

*2:日本語でだって歌だと時に聞き取りが難しいのに。