配管はなぜ破れたのか

8月9日15時半頃、美浜原発で運転中の原発の配管が破裂して高温高圧の蒸気が吹き出すという、死者まで出る事故が起きた。

まだその原因等についてはわからない。わからない中、素人が口出しするのもなんだが、どうにも気になってしまうのだ。

事故は、加圧水型(PWR)の原子炉の二次配管で起きた。加圧水型とは、原子炉で熱した水(1次系)はそのままでは放射能に汚染されているので、いったん熱交換器で汚染されていない水(2次系)に熱を移し、そのきれいな水でタービンをまわすという発電機であるそうだ。2次系以降は放射能に接していないので、火力発電とあまり変わらない。今回の事故はその2次系で起きた。問題は、加圧水型(PWR)の2次系だから起きたのか、1次系や沸騰水型(BWR)でも起きうるのか、である。

1次系や沸騰水型で配管が破断した場合、それは放射能漏れを意味する。その場合事故の深刻さはまったく異なって来る。ここで、それらも今回と同様、十分な検査がされていないんじゃないかとか、されていても検査は完全じゃないんじゃないかという怖がり方もあるだろう。

しかし逆に、2次系だから「手抜き」がされていたのではないか?

ここから、1次系(=放射能の問題)にリソースを集中しすぎるから、トータルとしての安全性がむしろ損なわれているのではないかという議論だって可能だろう。

ただ、私が最も気になっているのは、それでもなんでこんなことになっちゃったのか?である。

近年トラックによる大きな事故のニュースが多い。その実態を聞くと一人のドライバーに過重な負荷がかかっているという状況がある。しかし待ってくれ、その昔の映画「トラック野郎」では二人で交代しながら運転してはいなかったか?(映画を見ていないからまちがっていたらごめん)

そこには、安全を犠牲にしてでも効率重視、経済性重視の姿勢が見えてこないだろうか。

JCOの事故だってまさにそうではなかったか?リストラによって人が減らされ、さらにコストダウンを迫られて末端での効率化の試みが行き過ぎたあげくの大事故である。

今回の事故にも、その背景に、効率と経済性(コストダウン)の圧力が、安全軽視を招いていたのではないか?そしてさらに、現場に熟練技能の不足が生じているのではないか?その意味で、より大きな、日本全体を覆いつつある構造的な問題が、表に出た物ではないかと気になってならないのだった。