ハリーポッターとアズカバンの囚人

今回は事前に、「これまでよりも面白くて未読者にもわかりやすい」というのと、「原作との乖離が大きくてがっかり」という二種類の評価を聞いていた。実際に見ての感想は「なるほど」ってなもんであった。

今回も映画1・2作は見たけど、原作は1巻までという未読者と見に行った。その感想を聞いても、自分の実感としても、確かに今作は未読者にもストーリーが伝わりやすくわかりやすく楽しめるものであったと思う。しかしその未読者から同時に、ストーリーが一本調子で広がりがないという評が出る、そのような作品となっていた。

1・2作は良くも悪くも原作の挿絵であった。未読者には今ひとつ伝わりにくい所はあっても、その分原作世界の広がりを感じさせることはできていたように思う。映画としてどっちがいいかっていうと難しいが。

また、映画としての完成度を重視するあまり、重要なエピソード(特に心理面で重要なエピソード類!)が相当ばっさりと削られたり端折られたり。個人的に一番引っかかったのは、なぜ1回目は効かなかったディメンター退治の呪文が2回目は効いたのか、映画からではわからないんじゃないかな、ってこと。見ている多くの人は、出直して(magic pointを蓄え直して?)冷静にやったから程度にとっちゃったんじゃないかしらん。でも本当は「エクスペクト・パトローナム」の呪文は単にmagic pointを消費して超常現象を引き起こすというような呪文ではない。唱えた個人の幸福な経験、幸福感がどれほど重要なものであるのかがまるで伝わらないように思う。

見事にそれを勘違いした評も実際あるし。

内容についてもうちょっとだけ。

ディメンター(吸魂鬼)やボガート(ものまね妖怪)の性質にしろその撃退法にしろ、まさに「鬱」を描いていると思ってたんだけど、Googleで検索してみても今ひとつそう論じているページが見つからない。原作の読後に検索したときは、まだないのかな?程度に思ってたんだけど、映画が公開されてからでさえこれだけ時間が経っているのにないってことは、なんか勘違いだったのかなあ。

検索方法が悪いだけなのかもしれないけれど。喩えとしての妥当性だとか、是非聞いてみたいものなんだけどな。

このようなページは見つけた。これを読むと私の想像もあながち間違いではなかったように思うが。

で、そう思うと今作は本当は結構心理面の要素が大きい作品だったはずだと思うんですよ。映画は面白くはありましたが、ちょいと別物ですね。

まあぶっちゃけ私も同行者もエマ・ワトソンが元気に動いているところをしっかりみせてくれていれば概ね及第点を与えちゃうような鑑賞者なのであるんだけどね(^^;。