シカゴ

舞台の魅力と映画の表現力をあわせ持ったミュージカル映画


とにかく歌が多くて楽しい。ミュージカルと言うと、不自然に歌が出てきて嫌、という向きもあるが、この映画では、主人公たちの頭の中に舞台を置いて、主人公たちから見た世界の把握といった形の部分に歌を持ってきている。実際、完全に現実世界の歌と踊りは冒頭のキャサリンジータ=ジョーンズの「All That Jazz」と、ラストの主人公二人のものだけ。それ以外は全部主人公たちの頭の中に広がる舞台なのである。


だから、重要なシーンには全て歌がかぶさる。典型的な例を一つ挙げると悪徳弁護士を演じるリチャード・ギアの裁判シーン。裁判中の最大の見せ場である、不利な証拠を論破するこの部分には、ギアの最大の見せ場となるタップのシーンをかぶせている。かくて、ほとんど歌と踊りを堪能しているうちに最後のレビューに突入し、それが終わったときには思わず自分も拍手をしたくなったほどであった。


とにかく楽しい映画である。ここのところ古典的ミュージカルにはまっていたためもあってか、非常に楽しい。
ただし。物語自体は決して「良い」話じゃあない。登場人物にしても、名誉よりも金が全ての悪徳弁護士に、自分の理屈しか見えていない殺人犯の女囚たち。そしていかにして世間と陪審員をだまして金を稼ぎ無罪を勝ち取るかの物語。悪の魅力を発散すると言うほどではないにせよ、まあ良い子は真似しちゃいけません(^^)。

その意味じゃ完全に大人向けのミュージカル映画ってことかな。


ちなみに一日は映画1000円の日。1000円でこれって非常にお得であった(^^)。