「007カジノ・ロワイヤル」(字幕)★☆☆☆☆
なんだかすべてが行き当たりばったりで、偶然に頼り、因果関係が希薄で、敵が一貫していない。所詮007だと思えば、007らしい映画なのかもしれない。
ボンド役の役者の体だけは見事なんだが、軽快さとしなやかさにかけるから、もっさりしていてかっこ悪い。
ま、機内の時間つぶしとかでなければ、決して見なかった映画だろう。おバカ映画は好きだが、こういう意味でお馬鹿なのは好きじゃない。
「エラゴン 遺志を継ぐ者」(吹替)★★☆☆☆
原作は結構分厚めの小説だから、映画化で切り落としたところも多いのだろう。映画だけから得た印象を、目一杯褒めて言えば、いろいろなファンタジーもののいいとこ取りという感じ。以下ネタばれ。
世界観は竜騎士と魔法の世界。かつては竜騎士たちが力をあわせて世を治めていた世界だったが、裏切りにより他の竜騎士を滅ぼして権力を握った悪王が圧制をひいている。潜んでいる反乱軍にとって、唯一の希望はまだ孵化していない竜の卵。竜は、そのふさわしき乗り手に出会わぬ限り孵化しないのだった。この竜の卵を反乱軍の姫が悪王の下から盗み出す。その卵に、叔父のもとで育てられてきた平凡な農民の少年が、いきなりその勇気によって選ばれてドラゴン・ライダーとなるも、育ててくれた叔父は、悪王がそれを知って差し向けた刺客によって殺されてしまう。同じ村の世捨て人が、実は元竜騎士で、その指導のもと……、というような話。
長々と筋を述べたが、要はキャラクタ設定や筋立ては、ほぼ完璧にスター・ウォーズのパクリにインスパイアされたストーリー*1。
でもって、戦闘シーンなんかは映画ロード・オブ・ザ・リング。
ま、こういう物語は何からインスパイアされようが、面白ければそれでいいんだけどね。個人的には、少なくとも映画からはなんだかその底が透けて見えて、心から楽しむというわけには行かなかったが、まあ、好きな人がいるんだからいいんじゃないの。原作の著者がこれを完成させたときの年齢を考えれば「よく出来ました」というところか。
「ドリームガールズ」(字幕)★★★★☆
ミュージカル。以下ネタばれ。
前半は白人中心の音楽業界の中で、黒人女性ボーカルグループと黒人レーベルが手に手を取り合ってのし上がっていくサクセスストーリー。
その過程で、「売る」ために、本来のメインボーカルであるジェニファー・ハドソン演じるエフィ(歌は絶品だけど太っちょでルックス的には落ちる)がビヨンセ演じるルックス抜群のディーナと交代するという挿話が入る。ここで歌われた、「われわれは団結し、大空に枝を伸ばす巨木のごとき家族」というバラード「ファミリー」はなかなか良かった。
そしてドリームガールズは世界的なグループとなっていく。このあたりまでは実に爽快に話がすすむ。
しかし、しこりは残った。グループ名ドリームガールズが徐々にディーナ&ドリームガールズとなり、ディーナばかりが目立っていく中でエフィーの不満が蓄積。レコーディングや舞台での勝手な行動が目立つようになり、ついに追放。
ディーナの夫となった黒人レーベルの社長は、そのエフィーのカムバックに当たっては、かつて白人レーベルにされた仕打ちそのままに、露出の機会を奪っておいてパクルということまでを行う。
かくて心がばらばらになったかつての「家族」は離れ離れになっていく……。
概ねこのような筋の話だが、エフィの追放のあたりでのエフィの自己主張などは醜くて、とてもじゃないが聴いていられなかった。この件だけでこの映画を嫌いになることだって可能であったくらい。
ただ、最後がいけない。解散コンサートでエフィも加えてかつてのテーマソングを歌う件など、ほとんど理由らしい理由もなく泣けてきてしまった。最近なぜか離別というものに弱いのだ。
ともあれ、まあ勝ち負けで言えば負けということで、甘めに高評価。
ところで、この話はあからさまにダイアナ・ロスがモデルなんだが、どこまでが実話なんだろかね。とりあえずディーナはダイアナ・ロスに比べれば随分と性格が良いように描かれているが。