煙草と依存性

「依存」は「いそん」と読むそうだがIMEで「いそんしょう」と打つと「胃損傷」と出る*1今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。




さて、朝日新聞に「酸素吸入中、喫煙で火災 10年で患者9人死亡 - 社会」なる記事があった。

肺が悪いため自宅で酸素吸入をしている患者が、火事で亡くなる事例が各地で相次いでいる

というもので、その原因の多くは「たばこ」。しかし、

吸入中の喫煙など不適正使用による事故は報告義務の対象外。これまで同協会は、報道を通じて把握するだけだった

とのことで、

国や業界は、限られた事例しか把握していない

というものであるそうだ。ここまで読んだ時点で、10年で9人などという具体的な数値を掲げている記事タイトルは「間違っている」ような気がするんだがなぁ。




閑話休題この記事に対するぶくまを見ると、タバコの依存症の「強さ」を嘆く声が散見される。


当ブログでも、煙草の依存性は低いとする言説に疑問を呈してきた上で言うのも何であるが、煙草の依存性の最大の問題は、強さではないような気がしている。よく聞く類の「ジョーク」に「禁煙なんて簡単だ。私なんてもう何十回もしている」なんてものがあるが、思い立てばしばらく断てる程度には、確かに弱いんである。


煙草の依存性は、その強さもさることながら、形成のされやすさというものがより問題なんではなかろうか。


暴煙家、もしくは暴「喫煙擁護」家が良く引き合いに出すものに、アルコールの方がより問題だ、というものがある。確かにアルコール胃損傷…もとい、アルコール依存症は深刻である。しかし、喫煙とアルコールはイコールではない。アルコール依存症の症状の一つに「連続飲酒発作」があるが、アルコール飲料を好む人間の殆どがそのような「異常」飲酒の症状を呈するわけではない。しかるに、喫煙に関しては、多くの人間に異常喫煙状態がもたらされるのだ。


具体的な数値で示せば、

  • 飲酒人口 6,000万人 中 アルコール依存症 230万人 (3.8%) *2
  • 喫煙人口 3,363万人 中 WHO疾病分類による依存症に該当 1,800万人 (53.8%) *3 *4

である。



実に容易に依存が形成がされ、肉体的症状は社会的に問題になるような重さを持たない。ある意味一種理想的なビジネスモデルなのじゃないかい?*5




人間の集団における感受性ってものはさまざまで、色々な話を聞いていると、中間的なところに基準を持ってきたとき、上下に概ね5%程度、そこから外れる人が出てくるってのは、よくあるように思える。薬で言えば、効きにくかったり、逆に過剰な副作用が出たり。


喫煙に関して言えば、非常に形成されやすい依存性、それによって生じる非常に多数の“依存症に該当する”人々。その数と分布が喫煙が“社会”レベルで“目立つ”理由を作ってるんではあるまいか。(この項はとりあえず以上。オチはない。)

*1:「いそんせい」だと「依存性」と出る。

*2:wikipedia - アルコール依存症

*3:ソースは「平成10年度 喫煙と健康問題に関する実態調査

*4:喫煙人口については、JT調べ2004年男女計3,032万、2005年男女計3,020万人2006年に手法を変えて行った推計で男女計2,733万人

*5:個人的には野放図に悪臭を撒き散らすことさえなければ支持したっていいよ。