墺太利

この2006年10月に、国名表記をオーストリアからオーストリーに変更するというアナウンスがあったらしい。
オーストリー大使館商務部 (旧 オーストリア大使館商務部) のホームページにあるpdfファイルには以下のような記述がある。

日本ではオーストリアはオーストラリアと常に混同されております。この違いを明確にするため調査を始めたところ、Österreich には以前は別の呼び名があったことが判明致しました。 Hungary(現在のハンガリー共和国)がホンガリーと呼ばれていた頃、すなわち19 世紀から1945 年までの間、Österreich はまさに「オウストリ」と表記されていたのです。 今日でも多くの日本人は「オウストリ」をÖsterreich として認識しております。 当時も今日と同様に、国名表記の標準化はありませんでした。


文献を紐解けば、1873 年に発行された地理誌「萬國地名往来」にもÖsterreich は「ヲウストリ」と表音表記されております。日本が参加した1874 年のウィーン万国博覧会においても、Österreich は「オウストリ」と紹介されております。


そこで、私たちは発音と表記を考慮し長音(ー)を入れ、Österreich の呼称を 「オーストリー」 と変更することで、オーストラリアとの違いを明確に致します。

よっぽど混同で困ってたんだろうねえ。


ところが、一方でオーストリア大使館のサイトに行くと、ここは表記がすべてオーストリアのままなのだ。なので、事態は混乱する。先のサイトはネタか?マジか?


ウェブはよくしたもので、こういう状況においてはきちんとネタ元に問い合わせてくれる人がいる(ただし検証されてるわけじゃないんだがね)。
wikipediaのノート:オーストリアにおける議論での「Caren 2006年11月15日 (水) 02:11 (UTC) 」氏の書き込みによると、

ちょうど昨日、オーストリア大使館と日本の外務省に照会したのですけれども、

  • オーストリア政府は現在、手続き用のものを含めた全文書での邦語における表記を順次「オーストリー」へと修正中で、今後「オーストリア」での新規の文書の発行は行わない予定
  • 外務省は既にこの件を受理していて、表記変更については検討段階

とのこと。まあ一応信じてもよさそうな気がしてきたよ。大使館サイトが変わっていないのはそれを待っているだけなのだろう。


それにしても原語とも英語表記とも無縁な表記を採用するセンスは感心しないな。日本人は結構原語音に基づいた表記が好きだから、いっそ「エスライヒ」にすればいいのに。そのほうが根拠も明確でいいのにな。