表記の話

ゲド戦記で有名な「Ursula Kroeber Le Guin」の表記であるが、Wikipediaなどでは岩波書店から出ている作品の著者表記に基づいて、「アーシュラ・クローバー・ル=グウィン」としている。


実際Google先生に聞いてみても、この表記がもっともポピュラーなのだが、果たして「正しい」表記といえるのだろうか。


「グウィン」という表記については、綴り字をその通り日本語に転写しようとすれば、そのようになることは理解しやすい。ダイレクトにローマ字に変換すれば「guuin」。ちょっと「ぐ」の母音が長音気味に見えるかな。また「ウィン」が使われる状況から綴り字を逆算すると「Gwin」と、wを入れちゃいそう。その程度の感じだろうか。
また、栗本薫の「グイン・サーガ」にあるような、「グイン」という表記も、そのままローマ字化すれば「guin」となるように、これも理解しやすい。


しかし、Guinという表記の、英語における実際の発音は違うと考えられる。すなわち、「Guin」は[gin]と発音されるはずである。その意味では、単純にカナにすれば「ギン」[gin]。
う音列+小文字の母音で、前の文字の子音字と小文字の母音字を組み合わせただけの音を表すというルールからすれば、「グィン」が許容範囲か。ただし「ギ」が「ぐ」の子音字+「u」という音を主として表す文字として既存であるのだが。


とすれば、表記は「ギン」か「グィン」*1であるべきである。


さて、実際の使用状況をGoogle先生に教えていただこう。

アーシュラ グウィン -グィン -グイン -ギン の検索結果 約 219,000 件
アーシュラ グィン -グウィン -グイン -ギン の検索結果 約 23,000 件
アーシュラ グイン -グウィン -グィン -ギン の検索結果 約 15,200 件
アーシュラ ギン -グウィン -グィン -グイン の検索結果 約 216 件(かつほとんど誤爆

ついでに
アーシュラ グゥイン -ギン -グウィン -グィン -グイン の検索結果 約 453 件

事実上「正式名称」が「グウィン」となっちまった状況ではこの結果も仕方あるまいが、人名という固有の発音に意味がある語の表記としてはどうよ。*2

*1:私は、この「グィン」がなじみ。

*2:要はLe Guinさんに「るぐういん」と話しかけたときにどの程度びっくりされるかというような視点において。