惚れた女

ただし漫画の話題である(^^;。

先日の■思いっ切り執着したり布教しかねなかった時期のある作品・作家の中に、当時惚れ込んじゃったキャラクタが3人いる。というと、普通はやはり

高橋留美子めぞん一刻」(ビッグコミックスピリッツ1980年10月号〜1987年19号)の音無響子

だと思うのではなかろうか。確かに「めぞん」にははまりまくった。しかし違うのである。「めぞん」は一刻館の、時計坂の箱庭のような世界に世界にはまったのだ。惚れ込んでしまったのは、

  1. マカロニほうれん荘週刊少年チャンピオン1977年21号〜1979年42号)の「ルミたん」
  2. 百億の昼と千億の夜週刊少年チャンピオン1977年34号〜1978年2号)の「あしゅらおう」
  3. 火の鳥2772(マンガ少年1980年2月号〜4月号)のアンドロイド「オルガ」

なのである(時系列順に)。

1は恥ずかしい限りだが事実だ。伊達に初めて買った漫画本(雑誌の総集編だったと思うが)がマカロニだったわけではない(^^;。とはいえ正直なぜ「ルミたん」そんなに執着したのかは、今となってはあまりわからない。一応小学生だった頃の話であり、大昔である(^^;。ともあれ、それを抜きにしてもマカロニは抜群に面白かった。そして扉絵のスタイリッシュだったことと言ったら!

2も伊達に修学旅行で奈良興福寺にいくことを喜び、Wizardryドラクエの主人公の名前をことごとく「あしゅら」としたわけではない(笑)。ただこの相手、「女性」じゃないんだよねえ(^^;。仏教説話の阿修羅王は文字通り鬼神の王であるから雄々しい男神である筈だし、モデルとなった興福寺阿修羅王像も少女というより少年であろう。この荒ぶる神を萩尾望都は少女として描いた。それは造形的な面に於ける手足の細さや微かな胸の膨らみの描写にとどまらない。帝釈天とのやり取りは、まさに敵味方に分かれて闘い合いながらお互いに心引かれ合う関係である。そういった微妙な心理描写、悩み追いつめられた表情、ラストで真実に直面したときの切ない表情、そして最後にそのすべてを引き受けて更に無限の戦いへ向かう後ろ姿。そのすべてが私を引きつけたものだった。(以上概ね記憶に頼って書いているので違う部分もあるかも(^^;)萩尾作品としては「ポーの一族」等よりは陰影にかける部分はあるかもしれないが、光瀬龍の原作による壮大な物語はそれを補ってあまりある。

3については実はちょっと事情が違うのだ。惚れていたといいながら、名前すら覚えていなかった。というより正直言えばこのリストをまとめている途中まで、御厨さと美については「裂けた旅券」(マレッタは元娼婦だし、初登場シーンはいかにもって感じだったのにその後変わり過ぎ)や「イカロスの娘」や「ノーラ」(「いうこと聞かないとミサイル撃っちゃうぞ」だっけ?)についてばかり考えていて、この作品のことを忘れていた。ただはまったことは本当である。そもそもこの作品にはまったことによって上記の作品群に目を向けたのだから。ストーリー等についても忘れてしまっている。ただ、御厨のきれいな絵のイメージと、とても切ない情感だけを記憶している。

最後の火の鳥2772は単行本になっていない作品のようである。私がもっていたものも総集編か何かだったはず。ぐぐっても映像資料は見つからなかった。どっかで読めないかなあ。