矢野徹氏逝去

矢野徹氏逝去の報。81歳とのこと。
氏の著作で最も印象深いのは、まずは訳書「宇宙の戦士」であろうか。ハインラインの思想と矢野氏の思想が絡み合ったかのような迫力を感じる訳書であるように思う。
エッセイ系の著作では、ペーパーバックをむさぼるように読んで英語を覚えたということ、そしてアメリカのSF作家?のお宅にステイ?していたとき、その作家の奥様からテツは英語は上手だけど後は文法を覚えなきゃね、と言われ、学校文法のイメージで不要と思っていたから驚いたとか言うエピソードが記憶に残っている。
そして、「ウィザードリィ日記」である。既に当時で60を越えていた氏が、コンピュータRPBゲームであるウィザードリィにはまり、それをきっかけにパソコンに、そしてパソコン通信にのめり込んでいった様子が生き生きと描き出されていた傑作エッセイであったと思う。ヒトは好奇心さえ持ち続けていれば、いくつになっても新しいことをはじめ新しい世界に踏み出せるという心強い例を示してくれた作品でもあると思う。
そのパソコン通信の世界も過去の物となりつつある今、どうされているのかなあなどと思っていたちょうどこの時に触れた逝去の報であった。合掌。