英語信仰

小学生からの英語教育導入の話だとか、「国家の品格」なる良く売れた本の感想?というかそれに対する反発?等を読んでいると、相変わらず英語信仰が根強いことに驚かされる。往々にして世の中には日本語と英語しか学ぶべき言語が無いみたいな気がして来る。*1

国家の品格」の著者である藤原正彦氏に対しては、自分の子供には帰国後に英語教育を施しておきながら、「一般大衆」に対しては過度の英語教育を否定するなんて、エリート層に英語能力を囲い込もうとしているのだ、みたいな論調すらウェブ上で見かけたことがある。

とりあえず*2、帰国子女に関してはまた別に考えるべきだと思うんだけどね。行った年齢と期間にもよるけど、彼らは場合によっては「セミリンガル」のリスクを負っているのだ。である以上、一旦得た能力?身につけざるを得なかったその能力を伸ばしてあげるのが教育ってもんでしょう。私も外国信仰を持っているふつーの日本人だから、帰国子女で外国語をうまく使いこなせる人を正直うらやましいとは思うけど、それを持って親の思想まで一方的に決めつけるのは了見が狭いと感じる。

結局そういうのって、外国に住んだり外人の異性を捕まえることで、自分がランクアップしたと思う人々と、同じ思想を持っているようにしか思えない。いわば奴隷根性だ。まあ日本人をやめること、日本を脱出することが究極の目標だっていうのならしょうがないけど*3

そうじゃないのなら、やっぱり全ての基礎となる母語を使って思考する能力を極力高めてあげるのが、教育の役割なんじゃないかなあ。決して母語以上には他言語を使いこなすことはできないんだから。

*1:矛盾して聞こえるかもしれないが、現在の日本人にとって最も有益なのは英語であることまでは否定しない。ただ、それしか無いみたいに思うのはあまり良いこととは思わない。日本で一般的な高等教育を受ければ日本語と英語と中国語の文語(要は漢文だ)については概ねイメージだけでも把握することができるだろうから、後は初歩だけでもヘブライ語アラビア語?アイヌとかエスキモーの言葉あたりも面白いらしいが、成文の文化を担った言語じゃないからなあ?あたりを追加して学んでみれば、人間の言語の幅ってものについてある程度認識が深まるのではなかろうか。

*2:藤原氏が実際自分の子供と「一般大衆」とを分けて考えているかについては、とりあえずここでは言及しない。

*3:だったら語学力が云々だから生計の道が云々なんて言い訳言ってないでとっとと出てけよとも思うが。